Piemo子離れ日記

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伏線回収小説 「カラマーゾフの妹」 と言う冒険

前作で書いたように、
19世紀の古典的名作「カラマーゾフの兄弟」は
未完という説が有力です。


第2部の物語の可能性を亀山郁夫氏が提唱。、
バトンを受け取ったSF作家の高野史緒さんが続編を
作り上げてしまいました。

舞台は前作の13年後、
この13年間にフランスとドイツから、
科学や心理学、社会主義という新しい思想が流入してきました。

ロシアの民衆の多くは、まだ悪霊や神の奇跡を信じていますが、
迷信や盲信を退ける人々や、
社会を変えようと社会主義へと駆り立てられる人々が生まれてきています。
時代の雰囲気が変わってしまい、
第1部の抑えたトーンより熱を帯びた作品になっています。

現実に皇帝暗殺事件の起こる年。

長男ドミトーリーは犯人にされたまま、
シベリアの監獄で死亡。

次男イワンは科学犯罪捜査官になり、
13年前の父殺し事件の再捜査で帰郷。

三男アリョーシャは地元でリーザと結婚し、
街中の大人と子供から信任が厚い教師に。

アリョーシャと交流のあったコーリャたちは
テロ活動の中心になっています。


そして新たな殺人事件が発生しますが、
凶器がカラマーゾフ事件で使われたものと同じとあって、
田舎町は騒がしくなります。

この話ではイワンが主軸。
イワンと一緒に犯罪科学捜査に当たるのは
トロヤノフスキー心理捜査官。

13年前にはなかった心理学の知識を助けとしながら、
共依存、解離性障害、多重人格などを読み解いて、
イワン、スメルジャコフ、アリョーシャ夫妻たちの持つ病理を解明していく中で、
ドストエフキーの描いた人物像が覆されて行くさまは見ものです。


カギとなる妹の存在に着眼したことで、
わかりやすい筋立てが出来、
前作の伏線を回収し、長老の予言も実現してしまいました。


時代背景も手伝って、スピードと躍動感にあふれていて、
コンパクトで読みやすい上質なミステリーに
仕上がっています。


最先端科学に心酔したコーリャが
宇宙へのロマンを語りますが、
犬を宇宙に打ち上げるロシア的な思想の片鱗が垣間見えて
不気味でもあります。


文体のトーンが亀山訳カラマーゾフそのもの。
登場人物のセリフ回しなど、
前作を踏襲しています。

日本語訳から派生した作品なので、
ロシア語に訳し直したら雰囲気は伝えられないかもしれませんが、
日本の読者のために仕掛けられた壮大な遊びだと思って
楽しんで読むことをおすすめします。



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