Piemo子離れ日記

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ノーベル文学賞・受賞を待つもまた祭り

今年もノーベル文学賞の季節になると

「今度こそ村上春樹の受賞を祝いたい」

と思う人々が、お祭りよろしく盛り上がるのがみられます。

ゆかりの地の商店街や大手の書店、
ハルキストが集う店やネット。

参加する人々はみな楽しそうで、
春樹人気の高さを再認識しました。

今回はフランスの
パトリック・モディアノ氏の受賞となりましたが
これでまた2年後も
「受賞を待つ祭り 」という
恒例の楽しみを味わうことができます。
受賞してしまったら、
次からは心待ちにはできなくなりますものね。


ところでなぜ日本の文学関係者は
村上春樹以外に候補者を思いつかないのか?

と思うことはありますが

取った、取らないでこんなに盛り上がれる
華のある作家は
他にいないと言うことなのでしょうね。


今が旬、パトリック・モディアノの作品はコチラ ⇓






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ファンタジーだけど歴史小説、「鹿の王」

上橋菜穂子さんの最新作 「鹿の王」
国際アンデルセン賞受賞後の第一作を
上・下巻で読みました。

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守り人シリーズ、獣の奏者と同じように、
中央・東アジアの古を思わせる世界が
舞台となっているファンタジーですが、
架空歴史小説ともいえる
醍醐味にあふれています。


主人公は、ある地域で突然発生した
伝染病のただ一人の生き残り、
元戦士で奴隷のヴァンと
謎の病の原因を突き止めようと
奔走する若き医師ホッスル。

この二人が軸になり、交互に
物語を運んでいきます。


大国 「東爪瑠(ツァル)」 が支配を拡げていく世界の中で、周辺国の多くは属国となり、
抵抗するもの、受け入れるもの、交渉して自治を勝ち取るものと
それぞれが国の形を変えることを余儀なくされます。

そこで生まれた不満やひずみが厄災を生んでいくことにもなります。


地球上の全てのものが時間を超え、地域を超えてつながり続けている。

人間だけでなく、国家や民族、部族も、
また鳥や獣、虫、植物や病原菌に至るまで
連綿と歴史の流れに組み込まれていることを示してくれるスケールの大きな小説でした。

ヴァンが逃亡の途中で2歳くらいの女の子、ユナを拾いますが、
この生命力にあふれた溢れたおチビさんが可愛くて
先の見えない道を照らす希望の光となっています。


またヴァンとユナのサバイバルにハラハラさせられ、

ホッスルとその仲間の追いかける
医療サスペンスの行く末に目が離せなくなり、、

国と周辺を統治する長たちの政治的駆け引きや
周辺民族の迫害の歴史、テロ計画など、
現実世界を示唆するような展開に
物語の進む先が気になってたまりません。


けれども一番心を打つのは、
歴史の転換期とか関係なく
日々をその土地で生きていく一人一人の
暮らしです。

独特な世界観の入り組んだ話でありながら、
わかりやすい表現で子どもにも理解できるように書かれています。

けれど子どもにだけ読ませるのは
本当にもったいない。

日本の大人はもちろんのこと、
世界中の人に読んでもらいたい小説です。


鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐



鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐



↑ 今年一冊だけ読むならこれにしろと言いたくなるほどの面白さ。


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オタク必読小説「ハケンアニメ」

3つの物語はどれも

「どうしてアニメ業界にはいったんですか?」
と、聞かれることがある。

で、始まります。

春クールの2本のアニメ作品と
3人のヒロインを軸に
アニメ業界の内側を描いた小説です。





ハケンとは、アニメ業界のハードなイメージから
派遣・を思わせますが、
正しくは 覇権

1つのシーズンで50本ほど作られるTVアニメの中で
人気と評価を他よりも多く得た作品を
覇権アニメと呼ぶそうです。


第1話は、王子と猛獣使い
アニメプロデューサー(30代女性)が、
天才肌の監督に振り回されるお話。
子どもと変わらない迷惑な王子様監督がキュートで、
まるで少女漫画のようで楽しく読めます。


第2話は 女王様と風見鶏
自分の作品をはじめて作る事になった若い女性監督、
事務的なプロデューサーとパートナ―を組み
アイドル声優やスタッフ、マスコミなどの人間関係に
心折れながら、現実を知っていく監督を応援したくなります。


第3話は軍隊アリと公務員
アニメの舞台になった地方都市に偶然住んでいたアニメーターが、
地域おこしのイベントを手伝うことになり、
自治体のアニメ音痴に嫌気がさしながらも、
現実世界で人との交わりを覚えていきます。
容姿やセンスに卑屈だった彼女ですが、
殻から出てくるラストはかわいらしいと思えます。


最後、登場人物すべてが聖地に結集するのは、
ちょっとおめでたいけれど、
アニメ愛の起こす奇跡という事にしておきましょう。


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伏線回収小説 「カラマーゾフの妹」 と言う冒険

前作で書いたように、
19世紀の古典的名作「カラマーゾフの兄弟」は
未完という説が有力です。


第2部の物語の可能性を亀山郁夫氏が提唱。、
バトンを受け取ったSF作家の高野史緒さんが続編を
作り上げてしまいました。

舞台は前作の13年後、
この13年間にフランスとドイツから、
科学や心理学、社会主義という新しい思想が流入してきました。

ロシアの民衆の多くは、まだ悪霊や神の奇跡を信じていますが、
迷信や盲信を退ける人々や、
社会を変えようと社会主義へと駆り立てられる人々が生まれてきています。
時代の雰囲気が変わってしまい、
第1部の抑えたトーンより熱を帯びた作品になっています。

現実に皇帝暗殺事件の起こる年。

長男ドミトーリーは犯人にされたまま、
シベリアの監獄で死亡。

次男イワンは科学犯罪捜査官になり、
13年前の父殺し事件の再捜査で帰郷。

三男アリョーシャは地元でリーザと結婚し、
街中の大人と子供から信任が厚い教師に。

アリョーシャと交流のあったコーリャたちは
テロ活動の中心になっています。


そして新たな殺人事件が発生しますが、
凶器がカラマーゾフ事件で使われたものと同じとあって、
田舎町は騒がしくなります。

この話ではイワンが主軸。
イワンと一緒に犯罪科学捜査に当たるのは
トロヤノフスキー心理捜査官。

13年前にはなかった心理学の知識を助けとしながら、
共依存、解離性障害、多重人格などを読み解いて、
イワン、スメルジャコフ、アリョーシャ夫妻たちの持つ病理を解明していく中で、
ドストエフキーの描いた人物像が覆されて行くさまは見ものです。


カギとなる妹の存在に着眼したことで、
わかりやすい筋立てが出来、
前作の伏線を回収し、長老の予言も実現してしまいました。


時代背景も手伝って、スピードと躍動感にあふれていて、
コンパクトで読みやすい上質なミステリーに
仕上がっています。


最先端科学に心酔したコーリャが
宇宙へのロマンを語りますが、
犬を宇宙に打ち上げるロシア的な思想の片鱗が垣間見えて
不気味でもあります。


文体のトーンが亀山訳カラマーゾフそのもの。
登場人物のセリフ回しなど、
前作を踏襲しています。

日本語訳から派生した作品なので、
ロシア語に訳し直したら雰囲気は伝えられないかもしれませんが、
日本の読者のために仕掛けられた壮大な遊びだと思って
楽しんで読むことをおすすめします。



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「カラマーゾフの兄弟」 続編の構想

近頃フジのドラマで注目されている
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」。

この大長編は実は未完で
ドストエフスキーは、おそらく
第2部を書くつもりだったのではないか?
と、訳者の亀山郁夫氏が興味深い説を打ち出しています。


新潮文庫の小説のあとがきに、
そのことを少し書いていましたが、
これをさらに掘り下げて、詳しく論じたものが

「『カラマーゾフの兄弟』の続編を想像する」
という本にまとめられています。


なぜそう思うのかという根拠を、
作品と当時のロシアの時代的背景と
ドストエフスキーの残した書簡や手紙、
近親者の証言から導き出して推理をしています。


ドストエフスキーはこの遺作を書き上げて、
まもなく死んでしまったため、
さらに展開させる腹積もりがあったのかどうかは不明です。

ですが、他作品では伏線に破綻のない作家であるのに、
この作品に関しては、回収されていない長いエピソードがあることや、

前書きで主人公と呼んでいるアリョーシャが
大した活躍をしていないこと。

長老が思わせぶりな予言をしたのに、
実現する未来が書かれていないこと。

時間軸がきっちりしているこの作品は、
当時のロシアで起こった事件とシンクロしており、
おそらくその13年後の大事件(皇帝暗殺事件)が
山場になるだろうという解釈など。



ドストエフスキーの遺作そのものが
壮大なミステリーになっていて読み応えがあります。

原作の小説よりもわかりやすく、
読むと「カラマーゾフの兄弟」という作品も
理解がしやすくなります。
原作に魅力を感じながらも、
少し手こずっているような方にはおすすめの一冊です。


そして、「ああ続編、面白そう。あったら読んでみたいな。」
と思っていたら、

なんと高野史緒さんという日本人の作家が
続編を書き上げてしまいました。

その名も「カラマーゾフの妹」

これがまた面白い。
次の機会にご紹介したいと思います。

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